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【VIVANT】皇天親無く惟徳を是輔くの意味|ベキ生存の伏線

創作物(アニメ・映画・漫画・小説考察)

【ネタバレ注意】 『VIVANT』第2シーズン最新話までの内容に触れます。

「皇天親無く、惟徳を是輔く」

VIVANT第1シーズンの最終回で、乃木がノコルに返した言葉です。第2シーズンでノゴーン・ベキの生存が分かり、この言葉が伏線だったと話題になっています。

先に結論

読み方こうてん しん なく、これ とく を これ たすく
意味天は、えこひいきをしない。徳のある者だけを助ける
出典中国の古典『書経』(尚書)の「蔡仲之命(さいちゅうのめい)」
VIVANTでは第1シーズン最終回。父の墓を建てたいと電話してきたノコルに、乃木が返した
伏線だった理由続けて「花を手向けるのは、まだ先にするよ」。墓はまだ要らない=ベキは生きていた

言葉の意味を、一語ずつ

言葉意味
皇天(こうてん)天。天の神
親無く(しんなく)特定の者を、身内のようにひいきしない
惟(これ)ただ〜だけ
徳を是輔く(とくをこれたすく)徳のある者を助ける

つなげると、「天は誰かをえこひいきしない。ただ、徳のある者だけを助ける」。

ここの「親」は、「おや」ではありません。 「親しい」「身内びいき」の意味です。ただ、VIVANTでこの言葉が出てくるのは、まさに「親」の生死をめぐる場面でした。読み違えやすいところに、わざと当ててきたようにも見えます。

出典:罪を問われた父と、その息子の話

出典は、中国の古典『書経』の「蔡仲之命」という一篇です。この言葉が出てくる場面の背景を知ると、VIVANTで使われた意味が一段深くなります。

  1. 周の時代、王の一族の蔡叔(さいしゅく)が反乱に加わり、罪を問われて追放された
  2. その息子の蔡仲(さいちゅう)は、父とは違って徳を積み、行いを改めた
  3. 王は蔡仲に領地を与える。そのときの言葉の中に「皇天は親無く、惟徳を是輔く」がある

父がどうだったかではなく、お前自身の徳を天は見ている。 罪を問われた父を持つ息子に向けた言葉です。

これを、VIVANTに置き換えてみてください。

  • 父:ノゴーン・ベキ。日本から見れば、テントを率いた男
  • 息子:乃木と、ノコル。その父の息子として生きている

反乱の罪を問われた父と、その息子。 出典の背景が、そのまま乃木家の話になっています。

VIVANTで、どう使われたか

第1シーズン最終回(第10話・2023年9月17日放送)の場面です。

乃木はベキ、バトラカ、ピヨを撃っていました。そのあと、ノコルが乃木に電話をかけ、父の墓をバルカに建てたいと申し出ます。

乃木の答えが、「皇天親無く、惟徳を是輔く」。

そして「花を手向けるのは、まだ先にするよ」と言って、電話を切りました。

当時から「墓はまだ要らない、と言っているのでは」と、ベキ生存説の根拠として語られてきました。

そして第22話で、ノコルが「偉大なるノゴーン・ベキは今も生きている」と明かします。ベキは野崎らの計らいで生き延び、故郷の島根県・奥出雲で、バトラカ、ピヨと療養していました。放送から1135日越しの回収です。

ベキの生存についてはベキは生きているのかで、答え合わせをしています。

なぜ乃木は、この言葉を選んだのか

ここからは読みです。作中で乃木の意図は語られていません。

読み① 「生きている」とは言えない電話だった

ベキを生かしたのは、野崎ら公安の側でした。つまり、ベキの生存は日本の公安の秘密です。

乃木は別班の人間です。電話が誰かに聞かれていてもおかしくない。「父さんは生きている」とは、口が裂けても言えません。

だから、分かる人にだけ分かる言い方をした。墓の話に、墓の話で直接答えずに、漢文で返す。そして最後に「花を手向けるのは、まだ先」とだけ添える。後々事情を説明するとしてもその場では、秘密を守りながら、弟にだけは手がかりを残した、と読めます。

読み② 天は、ベキの何を見たのか

「天はえこひいきをせず、徳のある者を助ける」。

ベキは、日本に見捨てられたあと、バルカで孤児を拾って育てる組織をつくった人です。テントの名の由来は「テントの下には家族や仲間が集まる」。

ベキが助かったのは、乃木の息子だからではない。ベキ自身の徳を、天が見たからだ。 父を撃った息子として、乃木はそう言いたかったのかもしれません。

第1シーズンで、乃木は別班の仲間4人を撃ったときも、急所を外していました。ベキたちを撃ったときも同じだったとすれば、「天が助けた」の中には、乃木自身の手加減も入っていることになります。

読み③ ノコルへの言葉でもあった

出典の背景を思い出してください。罪を問われた父の息子が、自分の徳で認められる話です。

ノコルは、ベキに拾われて育った息子です。そして第2シーズンでは、テントを率いる立場にいます。

父がどうであれ、天が見るのはお前自身の徳だ。 墓を建てようとする弟に、乃木はそうも言っていたのではないか。第2シーズンで、ノコルは村をお金と誇りで動かし、兄の作戦に「テントは全勢力をかけて、兄さんに協力する」と言いました。ノコルは、父とは違うやり方で、自分の徳を積んでいるようにも見えます。

余談:よく似た言葉が『老子』にも

『老子』にも、よく似た一節があります。「天道は親無し、常に善人に与す」(天の道はえこひいきをせず、いつも善い人の味方をする)。

「天は身内びいきをしない」という考え方は、中国の古典に繰り返し出てきます。乃木がわざわざ『書経』の言い回しを選んだのかは分かりませんが、出典の背景(罪を問われた父と息子)を思うと、偶然にしてはできすぎています。

まとめ

  • 「皇天親無く、惟徳を是輔く」は、天はえこひいきをせず、徳のある者だけを助けるという意味
  • 「親」はおやではなく、身内びいきの意味
  • 出典は『書経』の「蔡仲之命」。反乱の罪を問われた父(蔡叔)と、徳を積んだ息子(蔡仲)の話の中に出てくる
  • VIVANTでは第1シーズン最終回。父の墓を建てたいと言うノコルに、乃木が返した
  • 続く「花を手向けるのは、まだ先にするよ」とあわせて、ベキ生存の伏線だった
  • なぜ漢文だったのか:「生きている」とは言えない電話だったから、と読める

ベキの過去は、次回(第23話)で明かされると予告されています。 ベキが天に助けられるだけの何をしてきたのか、そこで分かるのかもしれません。

第1シーズン最終回の電話の場面を見返すなら、第1シーズンはAmazonプライム・ビデオでも見放題です(第2シーズンはU-NEXTの独占配信で、Amazonにはありません)。

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