【VIVANT】黄色は裏切り者の印なのか|監督は否定

VIVANT 黄色は裏切り者か? 創作物(アニメ・映画・漫画・小説考察)

【ネタバレ注意】 『VIVANT』第1シーズンおよび第2シーズンの内容に触れます。

『VIVANT』を追っている人なら、一度は聞いたことがあるはずです。

「黄色を身につけている人物は、裏切り者」

第1シーズンの放送中にSNSで広まり、いまや半ば定説のように語られている説です。第2シーズンでも「あの人が黄色を着ていた」という指摘が続いています。

ただ、この記事で先に書いておきたいことがあります。

監督は、この説をはっきり否定しています。

それでもなお、この説が消えないのはなぜか。順に整理します。


参考:以下のモデルプレスの記事で、監督が否定しているとのことを知りました。

「VIVANT」野崎(阿部寛)の謎・“裏切りの黄色”説…SNSで浮上した考察の真相に福澤克雄監督が回答 – モデルプレス
俳優の堺雅人が主演を務めたTBS系日曜劇場『VIVANT』(2023年7月期)を福澤克雄監督ら演出陣が語る『VIVANT別版 ~副音声で福澤監督が語るVIVANTの世界~』が、15日よりU-NEXT Paraviコーナーにて独占配信をスター…

なぜ「黄色=裏切り」なのか——文化的な背景

まず、この説にはそれなりの土台があります。思いつきで生まれた話ではありません。

ユダが黄色を着ている

最も有名なのが、レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』です。キリストを裏切ったユダが、黄色い衣をまとって描かれているとされます。

ここから、西洋美術において黄色は裏切りの色として扱われるようになりました。

中世フランスの用法

さらに遡ると、中世フランス語で黄褐色を指す「fauve」という語が、裏切り者の比喩として使われていたという背景もあります。

差別の色としての歴史

黄色はその後、ユダヤ人を識別・差別するための印としても使われた歴史があります。「裏切り」「異物」という含意が、長い時間をかけて色に染み付いてきたわけです。

つまり「黄色=裏切り」は、日本のドラマ視聴者が急に思いついた話ではなく、西洋文化に実在する象徴体系です。だからこそ、この説には説得力がありました。

実際、黄色を身につけた人物は複数いる

そして厄介なことに、実際に該当する人物が何人もいるのです。

第1シーズンから第2シーズンにかけて、SNSでは10人以上の人物について「黄色を身につけていた」という指摘が挙がっています。

  • 衣装そのものが黄色系
  • ネクタイやシャツなど、一部に黄色
  • 持ち物や小物に黄色

指摘の中には「さすがに拡大解釈では」と思うものもありますが、明らかに黄色が目立つ人物もいます。

そして、その中の何人かは実際に裏切っていた。だから説が生き残ってきました。

実際に該当する人物

分かりやすいところを挙げます。

  • 最初の逃走劇で囮にされた男——歯が真っ黄色でした
  • 山本——テントのモニターとして丸菱にいた人物
  • ギリアム——テントに献上する金を横領していた
  • 乃木憂助——テントへ潜入したとき

裏切り、内通、横領。確かに並びます。

しかし、この4人目が話をひっくり返す

お気づきでしょうか。最後に挙げたのは乃木です。

乃木は裏切り者ではありません。それでも、テントへ潜入した場面では黄色を身につけていた

ここから、この説はもう少し正確に言い直せる気がします。

黄色は「悪人の印」ではない。「その場面で、誰かを欺いている者の印」ではないか。

乃木はテントを欺いていました。山本は丸菱を欺いていました。ギリアムはテントを欺いていました。立場や善悪ではなく、「いま嘘をついている側」に色がついている——そう捉えると、乃木が含まれる説明がつきます。

そして、この読みでも説明しきれない人がいる

正直に書きます。黄色を身につけているのに、欺いてもいなければ裏切ってもいない人物もいます。

ドラムがそうです。彼は乃木に協力する立場であり、テント側の人間でもなければ、誰かを裏切ってもいません。それでも黄色を身につけている場面があります。

柚木薫も同様です。彼女の正体はまだ確定していませんが、少なくとも「裏切り者」として描かれてはいません。

つまり——黄色を着ていても何もない人はいる。この時点で、「黄色=裏切り者」を法則として扱うのは無理があります。

もっとも、薫については第2シーズンでの登場回数がまだ少ないので、今後どう関わってくるかは分かりません。そこで何か動きがあれば、この話はまた面白くなります。

【重要】しかし監督は否定している

ここが、この記事で一番書きたい部分です。

第1シーズンの放送中、この「黄色=裏切り」説はSNSで大きな話題になりました。それを受けて、福澤克雄監督がこの説について回答しています

その内容は——

「まったく関係なく作っています」

という趣旨のものでした。

制作側が、明確に否定しているのです。

では、この説はデタラメなのか

ここからが考えどころです。監督が否定した以上、話は終わり——とはならないと思っています。理由は3つあります。

① そもそも偶然でも成立してしまう

黄色は日常的によく使われる色です。ネクタイ、シャツ、小物。登場人物が多い作品で「黄色を身につけている人」を探せば、それなりの人数が見つかって当然です。

そして裏切り者も複数いる。両者が重なる確率は、思ったより高い。

つまり、偶然でも説が成立してしまう構造なのです。人間は、こういうパターンを見つけるのが得意すぎます。

② 否定が「本当」とも限らない

一方で、こうも考えられます。

放送中の作品について、監督が伏線の答えを認めるでしょうか。

もし本当に黄色が伏線だったとして、放送の途中で「その通りです」と言えば、残りの裏切り者が全員バレます。否定するのが自然な立場です。

これは疑いすぎかもしれません。ただ、否定コメントは「そうではない」の証明にはならない、というのは論理として正しいはずです。

③ 後から意図が入る可能性もある

視聴者の間で説が広まったあと、制作側がそれを踏まえて衣装を選ぶことは、技術的には可能です。

第1シーズンでは偶然だったが、第2シーズンでは意識されている——という展開も、まったくありえない話ではありません。

第2シーズンでも指摘は続いている

そして実際、第2シーズンに入っても「あの人物が黄色を身につけていた」という指摘は続いています。

新しく登場した人物や、疑惑が向けられている人物について、衣装の色をチェックする視聴者は確実にいます

結局、どう受け止めるべきか

私の立場を書きます。

「伏線として信じきるのは危険。ただし、見ておく価値はある」

理由はこうです。

  • 監督が否定している以上、これを根拠に犯人を断定するのは無理がある
  • しかし、色に意味を持たせる演出そのものは、映像作品では一般的
  • そして何より、探しながら観ると単純に楽しい

考察というのは、当たることだけが目的ではないと思っています。画面の細部を見る理由をくれるという点で、この説には十分な価値があります。

外れていても損はしません。当たっていたら気持ちがいい。それでいいのではないでしょうか。

まとめ

  • 「黄色=裏切り者」説には、ユダの逸話や中世フランス語まで遡る文化的背景がある
  • 実際に該当する人物が複数いるため、説として生き残ってきた
  • しかし監督は「まったく関係なく作っている」と否定している
  • ただし、①偶然でも成立する構造 ②放送中に肯定はできない立場 ③後から意図が入る可能性 の3点は残る
  • 断定の根拠にはできないが、観ながら探す分には面白い

色の伏線を追いかけるのも、この作品の楽しみ方のひとつです。ただ、「黄色だから裏切り者だ」と決めつけて他の伏線を見落とすのは、もったいないとも思います。

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