【ネタバレ注意】 『VIVANT』第2シーズン第4話(通算14話)および第1シーズンの内容に触れます。
第4話は、シンシーの登場と新庄の死で持っていかれた回でした。
そのぶん見過ごされがちですが——この回でいちばん静かに置かれた爆弾は、別のところにあったと思っています。
樊林杏(ハン・リンシン)が、「孤児院」という言葉に反応した。
たったそれだけの場面です。ですが、この作品でこういう置き方をされたものは、後で必ず効いてきます。
何が起きたのか
野崎はシンシー側に、テントについて説明します。その中で、テロ活動と孤児院が繋がっていること、そしてバルカの施設の多くがテントの運営下にあることを語りました。
そこで、樊林杏の様子が変わります。
情報として受け流していたそれまでと、明らかに違う反応でした。
なぜ、これが引っかかるのか
シンシーの目的は、ここまで別班に向いていました。
- 別班員5人を拉致した
- 樊林杏は別班に遺恨があるとされる
- 野崎から買ったのも別班の情報
すべて日本の別班に関する話です。
ところが——バルカの孤児院という、まったく別の方向の話で、反応した。
別班を追っているはずの人物が、バルカに食いついた。 ここがずれています。
ネットで出ている読み:狙いはジャミーンか
放送直後から、こう言われ始めています。
シンシーの本当の狙いは、ジャミーンなのではないか。
根拠として挙がっているのが、この二つです。
① ジャミーンは「奇跡の少女」と呼ばれていた
第1シーズンで、ジャミーンにはそういう呼ばれ方がありました。そして、なぜそう呼ばれるのかは、はっきり説明されていません。
第1シーズンの未回収のまま残っているもののひとつです。
そして『VIVANT』は、第1シーズンに置いたものを3年越しで回収してくる作品です。第4話で新庄の両親を吊るす場面をやったのも、第1シーズンの再演でした。
② アリが、はっきり止めていた
第2話(通算12話)で、アリはこう言っています。
ジャミーンをバルカに戻してはいけない。
激しい調子だった、という指摘もあります。なぜ戻してはいけないのか、理由は語られていません。
「危険だから」で済ませられる話ではありますが——わざわざ言わせている以上、意味があると考えるほうが自然でしょう。
アリは以前、乃木に賭けました。その判断が、結果的に裏切りを暴くことに繋がっています。
人を見て賭ける、という判断で結果を出してきた男です。 その男が、ジャミーンについてだけは「戻すな」と言い切った。軽い警告として流せない理由が、ここにあります。
この二つが繋がると、確かに「狙われている」という線は成立します。
ここで、チンギスの話をしたい
もう一点、繋がることがあります。
第4話で、野崎は行き詰まったらチンギスを頼れという言葉を残しています。そして第15話でチンギスが登場します。
チンギスは、テントが経営する孤児院で育った人物です。
第1シーズンの序盤こそ乃木を追う立場でしたが、中盤以降は野崎の信頼できる現地協力者になりました。そして、テントは野崎を通してチンギスに接触していた。
ただしチンギスはテント側の人間ではありません。 バルカの警察官であり、孤児院で育ったというだけです。テントは野崎を介してフローライトの件で協力を求めた——それだけの関係です。
つまり、こうなります。
| 孤児院との関係 | |
|---|---|
| チンギス | その孤児院で育った |
| 野崎 | ベキの孤児救済の目的を知る人物 |
| 樊林杏 | 孤児院に反応した |
| ジャミーン | バルカの子ども。戻すなと言われている |
孤児院という一点に、全員が繋がっています。
そして、新庄もそうでした
もう一人います。新庄浩太郎です。
新庄は警視庁公安部・外事第4課の捜査官でありながら、テントの最上位モニターでもありました。二重身分です。
では、なぜ彼はテント側についたのか。
もともと新庄は、飛行訓練所にいた頃、そこでアリと接触し——テントが行っていた孤児支援の活動を知ります。
それで、変わったのです。
最初からテントの工作員だったわけではありません。ベキの真の目的を知り、敬愛するようになった。
新庄をテント側に引き寄せたのも、孤児院でした。
六人が、同じ一点で繋がっている
改めて並べます。
| 孤児院との関係 | |
|---|---|
| チンギス | その孤児院で育った |
| 新庄 | 孤児支援を知って、テント側へ転向した |
| 野崎 | ベキの孤児救済の目的を知る人物 |
| 樊林杏 | 孤児院に反応した |
| ジャミーン | バルカの子ども。戻すなと言われている |
| ベキ | その孤児院を運営していた側 |
「これから孤児院が重要になる」のではありません。すでに、この物語の中心にあったのだと思います。
野崎は、ベキが孤児の救済を目的にしていたことを知っている人物です。
その野崎が今、孤児院の話を敵にしている。 ここは、覚えておいていい点だと思います。
ただ、もう一つの読み方もできます
ここからは、あまり見かけない話をします。
みんな「狙い」の話をしています。樊林杏が獲物を見つけた、という読み方です。
ですが——あの反応は、そういう顔だったでしょうか。
獲物を見つけた人間の反応と、思い出したくないものに触れられた人間の反応は、違います。
樊林杏自身の過去なのではないか
考えてみてください。孤児院という言葉で感情が動く人間とは、どういう人間か。
- そこで育った
- 誰かをそこに預けた
- そこで誰かを失った
どれも「作戦」ではなく「過去」です。
樊林杏は元・中国公安部第6局長という経歴の人物です。国家の情報機関で局長まで務めた人間が、いま民間を名乗る組織を率いて、日本の別班に遺恨を向けている。
その遺恨の中身は、まだ一度も語られていません。
もし孤児院がその根に触れるものだったとしたら——あの反応は、狙いの合図ではなく、動機の入り口ということになります。
どちらでも、行き先は同じ
面白いのは、どちらの読みでも物語はバルカへ向かうことです。
- 狙いなら、ジャミーンを取りに行く
- 過去なら、樊林杏自身がバルカに関わる
そして次回、チンギスが出てきます。 バルカの人間で、孤児院の出身者です。
舞台は、戻ります。
まとめ
- 第4話で、樊林杏が「孤児院」という言葉に強く反応した
- シンシーの関心はここまで別班一色だった。バルカに食いついたのは、ずれている
- ネットの読みは「狙いはジャミーン」
- ジャミーンは「奇跡の少女」と呼ばれた理由が未回収
- 第2話でアリが「バルカに戻してはいけない」と言っていた
- そしてチンギスも、テントの孤児院で育った人物である
- 新庄がテント側へ転向した理由も、孤児支援を知ったからだった
- 孤児院という一点に、チンギス・新庄・野崎・樊林杏・ジャミーン・ベキが繋がっている
- ★ただし——あの反応は「狙い」ではなく「過去」かもしれない
- 孤児院という言葉で感情が動く人間には、そこに個人的な何かがある
- 樊林杏の遺恨の中身は、まだ語られていない
- どちらの読みでも、物語はバルカへ戻る
第15話でチンギスが登場します。孤児院の出身者が出てくる回に、この話が進まないほうがおかしいと思っています。

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