【VIVANT2】野崎はなぜ別班5人を売ったのか|潜入の目的考察|東条への振り込みの意味

5話考察 創作物(アニメ・映画・漫画・小説考察)

ネタバレ注意】 『VIVANT』第2シーズン第5話(通算15話)および第1シーズンの内容に触れます。

第5話で、決着がつきました。

野崎は裏切っていません。潜入捜査でした。

公安部長の佐野が、別班の尋問の場でそう明かします。信じていた人にとっては、報われた回だったと思います。私もそうでした。

ただ——安心して終われる話ではありません。

なぜなら、いちばん大きな問いが、まだ残っているからです。

では、なぜ別班員5人を売ったのか。

事実として分かっていること

まず整理します。

項目内容
野崎の立場潜入捜査中。日本を裏切ってはいない
佐野知っていた。共犯ではなく、承知していた側
売られた5人ゴルバド共和国にいる可能性が高い
潜入先シンシー(中国の別班にあたる組織)
公安の状態シンシーに筒抜けだった

この最後の一行が、多くを説明します。

なぜ、味方にも黙っていたのか

ここが最初に引っかかるところだと思います。

潜入なら、乃木に伝えておけばよかったのではないか。ドラムも、あそこまで傷つかずに済んだのではないか。

答えは、この回に出ています。

公安は、シンシーに筒抜けでした。

公安が設置していたカメラの中に、さらにシンシーの小型カメラが仕込まれていた。つまり——公安の内部で交わされたことは、敵に届く。

だから、言えなかった

言えば漏れる。それだけの話です。

そして厄介なのは、誰が漏らしているか分からない状態だったこと。カメラの件が示すのは、内部に手引きした人間がいるということです。

「信用できる相手にだけ伝える」ができない。 誰が信用できるか、判別する手段がないからです。

だとすれば、取れる方法は一つしかありません。

誰にも言わない。

ただ、バルカでのチンギスにだけヒントを渡しておいた

乃木への仕打ちも、説明がつく

野崎は乃木に何も伝えませんでした。それどころか、乃木が絶望する形で「裏切り」を演出したことになります。

残酷です。ただ——乃木が本気で怒っていなければ、敵は騙せません。

乃木は演技のできる男です。しかし、演技だと知っている人間が一人でも増えれば、そこから漏れる。 野崎はそれを避けた。

乃木の絶望そのものが、潜入の信憑性を担保していたわけです。

では、なぜ5人を売ったのか

ここが最大の問題です。潜入のためとはいえ、仲間を差し出したことに変わりはありません。

考えられる筋を並べます。

① 手土産がなければ、入れなかった

いちばん素直な読みです。

シンシーは別班に遺恨を持つ組織です。そこへ入り込むには、別班を裏切った実績が要る。口先だけでは信用されません。

5人という数は、その代価だった。

冷たい言い方ですが、諜報の世界の筋としては通ります。そして野崎は、それを一人で背負った。

② すでに漏れていた可能性

こちらも考えられます。

公安が筒抜けだったのなら、別班の情報も、すでに向こうに渡っていたかもしれません。もしくはこれからすぐにわたる予定の物だったパターンもあります。

だとすれば、野崎が「売った」情報は、実質的に新しいものではなかったことになります。すでに知られていることを、あらためて手土産として差し出した。

そう読むと、5人の拉致は野崎が引き起こしたのではなく、起きるのを利用したという形になります。

③ 5人が、生きて帰るための布石

拉致された5人は、まだ生きている可能性が高いとされています。ゴルバド共和国にいる、と。

殺されていません。

もし野崎が完全に敵側なら、生かしておく理由はありません。内部に野崎がいるから、5人はまだ生きている——そう読むこともできます。

テントの特にフローライト関連の内容を漏らさない限りしばらくは安心でしょう。

救出するために、まず捕らえさせた。 荒すぎる筋ですが、この作品ならやりかねません。

東条へ振込の意味とは

1億2600万円という数字|日本の像人口

細かい話ですが、触れておきます。

野崎が東条へ振込は、1億2600万円でした。

これは、日本の総人口に近い数字です。

野崎が受け取った報酬は1億2600万円でした。

もちろん正確には合いません。 現在の日本の総人口は約1億2300万人。1億2600万は、5年ほど前の数字です。

……ただしかし

5年ほど前というのが引っかかります。この物語が始まったのも、5年前の北京でした。

偶然かもしれません。ただ——日本を裏切っていないという意思表示として置かれた数字ではないか、という見方が出ています。

1人あたり1円。 そう考えると、売ったのではなく預かったというニュアンスにも読めます。

考えすぎでしょうか。ただ、この作品は数字で遊びます。 1544のときもそうでした。

結局の目的は何なのか

ここからは推測です。可能性を並べます。

説① シンシーそのものを潰す

組織の内部から崩すという、いちばん分かりやすい目的です。

外から手が出せない相手なら、中に入るしかない。別班5人を取り戻すにも、内側にいたほうが早い。

説② 5年前の決着をつけに行った

私はこの線を推しています。

第5話のラスト、佐野は5年前の北京の話を始めました。野崎の下にいた二人のエージェント——劉銘軒(リュウ・ミンシュエン)張競士(チョウ・ケイシ)

劉銘軒は、野崎が自分の唯一の失敗と呼んだ相手です。度を超えた調査の末に死んだ、とされてきました。

そして今、その北京を管轄していた側の人間が、シンシーを率いています。樊林杏は、元・中国公安部第6局長です。

繋がらないほうが不自然です。

もし劉の死に樊林杏が関わっているのなら、野崎の潜入は任務であると同時に、個人的な決着でもあることになります。

劉銘軒についてはこちらの記事で詳しく書きました。生存説も出ています。

説③ 公安内部のスパイをあぶり出す

カメラの件がある以上、内通者は必ずいます。

野崎が「裏切った」ことにすれば、内通者が動く。誰がどこへ報告するかを見れば、正体が割れる。

囮としての裏切りという読みです。実際、この回で公安の汚染が表に出ました。

説④ そもそも一つではない

ネットで出ている面白い見方に、「πの世界」というものがあります。

割り切れない円周率になぞらえて、野崎は二重どころか五重六重のスパイなのではないか、と。

荒唐無稽に聞こえますが、野崎はチンギスに「俺は諜報員だ」と言っています。公安の人間が、わざわざそういう言い方をするでしょうか。

目的が一つだと決めてかかると、読み違えるかもしれません。

それでも残る、いちばん重い問い

最後に、公平を期して書いておきます。

目的が何であれ、仲間を差し出したことは事実です。

拉致された5人には家族がいるでしょう。新庄は死にました。乃木とドラムは、信じていた相手に裏切られたと思って苦しみました。

正しい任務だったから帳消し、とはなりません。

野崎自身が、それを分かっていないはずがない。分かったうえで選んだのだとしたら——その理由が、5年前にあるのだと思います。

第16話で、そこが描かれます。

まとめ

  • 第5話で、野崎の裏切りは潜入捜査だったと判明した
  • なぜ味方にも黙っていたのか公安がシンシーに筒抜けだったから
    • 誰が信用できるか判別できない以上、誰にも言わないしかない
    • 乃木の絶望そのものが、潜入の信憑性を担保していた
  • なぜ5人を売ったのか——考えられるのは3つ
    • 手土産がなければ入れなかった
    • すでに漏れていた情報だった
    • 生かして取り戻すための布石だった
  • 1億2600万円は、日本の総人口に近い数字。意思表示という見方がある
  • 目的の候補は、シンシーの解体/5年前の決着/内通者のあぶり出し
  • 私は5年前の線を推しています。樊林杏は元・中国公安部第6局長であり、
    劉銘軒が死んだのも北京だった
  • ただし——目的が正しくても、差し出された人がいることは変わりません

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