【ネタバレ注意】 『VIVANT』第2シーズン第6話(通算16話)までの内容と、第1シーズンの内容に触れます。
第6話(通算16話)で、二つのことが同時に明かされました。
ひとつ、リュウ・ミンシュエンは生きていた。
ふたつ、彼は乃木憂助にうり二つだった。
……二つ目のほうが、はるかに厄介です。
生きていたことには、まだ説明のしようがあります。ですが顔が同じというのは、偶然で片づけられません。
なぜ、同じ顔なのか。 そして——野崎は、いつからそれを知っていたのか。
まず、事実を整理します
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リュウ・ミンシュエン | 生きていた |
| 現在の立場 | シンシーのエージェント |
| 容姿 | 乃木憂助にうり二つ |
| 5年前 | 北京の日本大使館で、野崎の下にいたエージェント |
| 同僚 | チョウ・ケイシ(張競士) |
そして忘れてはいけないのが、野崎はこの人物を「死んだ」と言っていたことです。
野崎の側から読み直すと、話が変わる
理由を考える前に、視点を変えてみてください。
野崎の側から見ると、こうなります。
- 5年前、自分の部下が死んだ(と、少なくとも彼は語ってきた)
- そして第1シーズン、その部下と同じ顔の男が、目の前に現れた
乃木憂助です。
「似ている」は、比喩ではなかった
野崎は乃木について、自分の後輩に似ているという趣旨のことを語ってきました。
私はこれを、心理的なものだと思っていました。亡くした部下の面影を、目の前の若い男に重ねている——そういう話だと。
違いました。 文字通り、顔が同じだったのです。
では、なぜ同じ顔なのか
ここからは推測です。可能性を並べます。
① 血縁説
いちばん素直で、いちばん重い読みです。
乃木憂助の父はノゴーン・ベキ。バルカで長く生きた人物です。そして乃木には、育ての兄弟にあたるノコルがいました。
もう一人いたとしても、この作品では驚きません。
リュウは中国名です。 北京にいて、日本大使館のエージェントだった。血縁でありながら、別の国で育ったという筋は、この作品が何度もやってきた形です。
ただし——血縁なら「似ている」で済むはずです。 「うり二つ」というのは、兄弟にしては似すぎという気もします。
② 双子説
血縁説の極端な形です。うり二つという言い方に、いちばん素直に合います。
ただ、乃木の出自は第1シーズンでかなり描かれました。 母は1984年に亡くなり、幼い憂助はバルカで人身売買に出された。双子がいたなら、どこかで触れられていそうなものです。
触れられていなかったこと自体が伏線、という可能性も、もちろん残ります。
③ 作られた顔説
どちらかが、どちらかに似せられたという読みです。
諜報の世界の話ですから、荒唐無稽ではありません。実際この作品では、顔の型を取るシリコンが第14話に出てきています。技術としては、すでに提示済みです。
問題は方向です。
- リュウを乃木に似せたのなら、乃木の顔を必要としていた誰かがいる
- 乃木をリュウに似せたのなら、話は根本から崩れます
前者だとすれば、5年前の時点で、誰かが乃木を見ていたことになります。それは相当に不気味な話です。
★喋り方が、少し引っかかる
ここで、細かいのですが気になる点を書いておきます。
リュウの喋り方に、独特の訛りがあります。
中国で育った人物なのですから、それ自体は自然です。ただ——顔を作り替えたのだとしたら、口の周りは変わります。
発音は、骨格と筋肉で作られるものです。 大きく手を入れれば、話し方に影響が出てもおかしくありません。
考えすぎかもしれません。 訛りは訛りで、出身の話かもしれない。
ですが、顔が変わった人間の声が、前と同じである保証はない——そう思って聞くと、あの喋り方が少し違って聞こえます。
④ 偶然説
他人の空似。
私は当初、これを「作劇としては弱い」と考えていました。ですが、そうとも言い切れません。
この作品は、偶然を起点にすることがあります。 そして——「たまたま似ていた」ほうが、話としては怖いのです。
なぜ「偶然」のほうが怖いのか
理由があるなら、そこに意味があります。血縁なら家族の話になり、作られた顔なら陰謀の話になる。どちらも、納得できる形に収まります。
偶然だと、収まりません。
野崎は、たまたま同じ顔の男を二人、続けて背負ったことになります。一人目は死んだと思い込まされ、二人目は日本の裏を支え、世界を巻きこむ渦の中にいる人物。
意味のない一致に、人生を振り回されている。
そして——偶然そっくりな男がいたという事実を、誰かが利用したという筋もあります。似ていたから使われた、という順序です。
理由が無いほうが、むしろこの作品らしい気もしています。
そして、野崎も騙されていた
理由の話から少し離れます。ここを押さえておかないと、野崎の見え方を間違えます。
第1シーズンの第7話で、野崎はリュウは死んだとはっきり述べています。「もうこの世にはいないがな」とも。
生きていたのだから嘘だった——そう読みたくなりますが、違うと思います。
野崎は、本気で死んだと信じていたはずです。
「唯一の失敗」は、失敗ですらなかった
だとすると、話はもっと苦いものになります。
野崎はずっと、こう悔やんできました。もう少し見ていれば、死なずに済んだのに。
その死が、そもそも無かったのです。
リュウはシンシーに救出され、生きていた。野崎だけが、死んだと思い込んだまま5年を過ごした。
つまり——「唯一の失敗」は、失敗ですらありませんでした。 最初から、そう見せられていただけです。
悔やんでいた相手に、悔やまれる理由がなかった
野崎は、部下を守れなかった自分を責めてきました。
ですが実際には、その部下は最初から敵側の人間で、いまも生きていて、野崎の手の内をすべて把握している。
悔やむ対象そのものが、作られたものだった。
嘘をついていたのが野崎なら、まだ話は単純でした。そうではなく、野崎が5年間ずっと騙されていた——そのほうが、はるかにきついと思います。
まとめ
- 第6話で、リュウ・ミンシュエンは生きていたと判明
- そして乃木憂助にうり二つだった
- ★野崎の「似ている」は比喩ではなく、顔の話だった
- なぜ同じ顔なのか。考えられるのは血縁/双子/作られた顔/偶然
- ★作られた顔なら、5年前の時点で誰かが乃木を見ていたことになる
- リュウの独特な訛りが、顔をいじった影響という可能性も、少しだけ
- ★偶然(他人の空似)も、十分ありえると思っています
- 理由が無いほうが、むしろ怖い。意味のない一致に人生を振り回されている
- そして——野崎は嘘をついていません
- 本気で死んだと信じていたはずです
- つまり「唯一の失敗」は、失敗ですらなかった。5年間、騙されていた
- しかし、回想シーンであったある違和感「三本の傷の証言」において、野崎は初めからリュウ・ミンシュエンは生きていると疑っていた可能性もあります。
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